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くさもみじ
荷風随筆集(下)
永井 荷風
永井荷風『荷風随筆集(下)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:草紅葉、西瓜、梅雨晴、正宗谷崎両氏の批評に答う、裸体談義。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,512 字 · 63 页
わたくしが個人雑誌『花月』の誌上に、『かかでもの記』を掲げて文壇の経歴を述べたのは今より十五、六年以前であるが、初は『自作自評』と題して旧作の一篇ごとに執筆の来由を陳べ、これによって半面はおのずから自叙伝ともなるようにしたいと考えた。しかしそれもあまり自家吹聴に過るような気がして僅に『かかでもの記』三、四回を草して筆を擱いた。
谷崎君は、さきに西鶴と元禄時代の文学を論じ、わたくしを以て紅葉先生と趣を同じくしている作家のように言われた。事の何たるを問わず自分の事をはっきり自分で判断することは至難である。谷崎君が批判の当れるや否やはこれを第三者に問うより外はない。紅葉先生は硯友社諸先輩の中わたくしには最も親しみが薄いのである。外国語学校に通学していた頃、神田の町の角々に、『読売新聞』紙上に『金色夜叉』が連載せられるという予告が貼出されていたのを見たがしかしわたくしはその当時にはこれを読まなかった。啻に『金色夜叉』のみならず紅葉先生の著作は、明治三十四、五年の頃友人に勧められて一括してこれを通読する日まで、わたくしは殆どこれを知らずにいた位である。これも別に確然たる意見があったわけではない。