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はなばなしきいちぞく
華々しき一族
森本 薫
「劇作」1935(昭和10)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,204 字 · 94 页
真面目なんですかそれで。
須貝 折角ながら、僕にもわからんです。どちらにでもなろうと思えばなれる。と言う所ですね。しかしも少し放っておいて下すったら、僕はきっと未納君を細君にしたくなったと思いますね。おかしな話ですな。
昌允 ――。
須貝 どら。みなさんによろしく、もう、夏ですな。夕方は実にいい。
昌允 仕事の方はどうします。
須貝 それは先生の処置にまかせておきましょう。
昌允 宿が定ったら、知らせて下さるでしょう。
須貝 知らせましょう。奥さんに明日の晩は成功を祈ると言って下さい。いや、言わない方がいいかな。
昌允 そう言っときましょう。明日は、変ったことが二つあると思ったが。一つになったわけだ。
須貝 じゃ失敬。一つ減ったわけだ。
昌允 さよなら。荷物、持てますか。
須貝 その辺で、車を目付けますよ。
昌允 そうですか。じゃァ……。
須貝、去る。
奥の方で、ベルが鳴る。繰り返し。
昌允 (二階へ向いて怒鳴る)婢やはいませんよ。
鉄風 (二階へ出て来て)婢やは何処へ行ったんだ! ひとが呼ぶ時に居た例がない!
昌允 伯母さんが、病気で宿へ帰ったじゃありませんか。多分、戻って来ないだろうって言ったじゃありませんか。