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あおじろいつき

蒼白い月

徳田 秋声

「サンエス」1920(大正9)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,440 字 · 19 页

青空文庫

私には判断がつきかねた。

「雪江はどうです」私はそんなことを訊ねてみた。

「雪江ですか」彼は微笑をたたえたらしかった。

「気立のいい女のようだが……」

「それあそうですが、しかしあれでもそういいとこばかりでもありませんね」

「何かいけないところがある?」

「いいえ、別にいけないということもありませんが……」と、彼はそれをどういうふうに言い現わしていいか解らないという調子であった。

が、とにかく彼らは条件なしの幸福児ということはできないのかもしれなかった。

私は軽い焦燥を感じたが、同時に雪江に対する憐愍を感じないわけにはいかなかった。

「雪江さんも可哀そうだと思うね。どうかまあよくしてやってもらわなければ。もちろん財産もないので、これからはあなたも骨がおれるかもしれないけれど」私は言った。

「それあもう何です……」彼は草の葉をむしっていた。

話題が少し切迫してきたので、二人は深い触れ合いを避けでもするように、ふと身を起こした。

「海岸へ出てみましょうか」桂三郎は言った。

「そうだね」私は応えた。

ひろびろとした道路が、そこにも開けていた。

「ここはこの間釣りに来たところと、また違うね」