轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くらのにかい
蔵の二階
豊島 与志雄
「思索」1949(昭和24)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,351 字 · 27 页
つまり抵当云々が気に入らないのだ。その地所、殊に土蔵は、彼女の唯一の棲息場所であり、白井家の家名を担ってるものである。それを抵当とは、とんでもないことだ。
桂介は意外だった。抵当の条件は、美津子からちょっと聞いてはいたが、一時のこととして、気にも止めなかった。家屋や地所がカヨの名儀であることさえ思い浮べなかった。抵当に入れたらそのまま騙り取られるもののように、彼女は思ってるのであろうか。
「わたしはもう決して、実印のはんこはおしませんよ。ほかに使うものも無くなったし、この家きりだから、実印はどこかに捨ててしまいます。」
彼女名儀の株券などがまだ残っていた頃、それを売り払うのに、彼女は実印を桂介に預け放しだった。ところが、土蔵の件になって、鉄壁のように抵抗しだした。理屈ではなく、感情なのだ。
桂介も久子も、もう何も言えなかった。新築のことなど、夢のように消えた。
カヨは無言がちな日々を送り、風呂にも行かず、引っ籠ってばかりいたが、突然、深川の不動様にお詣りしてくると言って、出かけた。
だいたい、カヨの信仰は深いものではない。久子のお産の時、水天宮様のお札を受けてきたが、それは常識的な慣習にすぎない。