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はくめい
薄明
新紀元社刊、1946(昭和21)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,073 字 · 18 页
「なに、心配する事はないよ。みんなで、おれの生れ故郷へ行くさ。何とかなるよ。」
妻も妹も沈黙した。私のどんな意見も、この二人には、前からあまり信用されていないのである。二人は、めいめい他の事を考えているらしく、何とも答えない。
「やっぱりどうも、おれは信用が無いようだな。」と私は苦笑して、「けれども、たのむから、こんどだけは、おれの言うとおりにしてくれ。」
妹は暗闇の中で、クスクス笑った。そんなにおっしゃってもと、いうような気持らしい。そうして、すぐまた他の事に就いて妻とひそひそ相談をはじめる。
「それじゃまあ勝手にするさ。」と私も笑いながら言い、「どうも、おれは信用が無いので困る。」
「そりゃそうよ。」と妻は突然、あらたまったような口調で言い、「父さんは、いつでも本気なのか冗談なのかわからないような非常識な事ばかりおっしゃるんだもの。信用の無いのは当り前よ。こんなになっても、きっとお酒の事ばかり考えていらっしゃるんだから。」
「まさか、それほどでもなかろう。」
「でも、今晩だって、お酒があったら、お飲みになるでしょう。」
「そりゃ、飲む、かも知れない。」
とにかく、このお家にもこれ以上ご厄介をかけてはいけない、明日、また他の家を捜そうという事に二人の相談はまとまった様子で、翌る日、れいの穴から掘り出した品々を大八車