轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

そせい

蘇生

豊島 与志雄

「新小説」1918(大正7)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,974 字 · 31 页

青空文庫

静に涙が湧き出て来た。彼は夜具を頭から被った。そして唇をかみしめた。いい知れぬ悲しみの情が胸の底からこみ上げて来た。眼瞼を閉じて涙を押え止めていると、頭がくらくらとしてきた。拳で一つ頭を叩くと、凡てが遠くなっていった。

やがて彼は静に蒲団から顔を出した。何という変化だろう。凡てのものが不思議に思えた。自分の生命が、時間が、あの事変の前後に於て、ふっと暗闇のうちに吸い込まれていた。そしてあの時の光景ばかりが明かに輝いてみえていた。或る距離を置いてそれをじっと見つめていると、それにもはや近づけないことを知ると、限り無い悲しみの情が湧いてきた。而も現在の事物が何というまざまざとした新らしさで、明るみのうちに曝け出されていることか。

「窓をしめてくれないか。」と彼は云った。

中西は立って行って窓の戸を閉めた。すると縁側の障子だけからさし込む光りが、室の中の陰影に程よく融け込んで、柔い夢のような明るみを拵えた。彼は何故ともなくほっと吐息をついた。

障子にさしてる日の光りで、朝の九時頃だと彼は思った。(そう時間を推測したことが、彼には自ら不思議に思えた。)八重子さんが尋ねて来た。