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にじとかんきょう
虹と感興
上村 松園
「大毎美術 第十一巻第一号」1932(昭和7)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,448 字 · 5 页
、また、出来したところで、到底最初のようなものが出来るわけはありませんから、ついお話しだけで、実物は出来ずじまいになっておるようなわけです。
ですから、二度めの感興などは、いわば拵え上げた感興ですから、もしそれによって作品が出来たところで、それはやはり拵えものに過ぎない、形あって精神のぬけたものになるに相違ありません。
これを考えましても、私たち筆執るものには、この第一感興が、最も重要なものだと思われます。
しかし、感興も、その感興の起った時が一とう鮮やかであり、色濃いにきまっております。時が過ぎたら、それはやはり鮮明さを欠いて、薄らいでゆくのは、ちょうど、虹のようなものでしょう。
この感興をいなさない用意もまた、作家としては肝要なことと考えます。