轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みかん
蜜柑
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社 、1941(昭和16)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,307 字 · 25 页
……しかるに貴殿がたは、はじめから五百石、千石、八千石などという高禄でお召抱えになった。むろん貴殿がたは高名な武人であろう、これまで幾戦陣で名誉のてがらをたてられたに相違ない。けれども、紀伊家のおんためにかつてなにかてがらがあったか? ……千石、二千石の高禄を賜わるだけの御奉公を紀伊家のためにしておるか」
「待て待て、その一言、聞き捨てならんぞ」
「拙者は事実を申しておる」源四郎はかまわずにつづけた。
「代々おいえに砕骨の御奉公をした多くの者が微禄小身でいるのに、新規お召抱えの貴殿らに高禄を賜わるのは、これひとえにお上の思召だ。いいか、われらは貴殿がたの高禄を羨みはしないぞ。ただ、高禄を戴くがゆえにじぶんたちを高しとし、小身微禄の譜代の者を見くだす態度はやめて貰いたい、おのれの豪勇を誇るがために、お上を危い場所へおさそい申すような無法はやめて貰いたいのだ!」
舌鋒するどく、源四郎がそこまで云ったとき、隣室とのあいの襖があいて、髪のなかば白くなったひとりの老人がはいって来た。この家のあるじ藪三左衛門である。
「おはなしちゅうをご無礼」三左衛門はそう会釈しながら、七郎左衛門を押しのけるように坐って云った。