轻松读懂日语经典作品
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みかん
蜜柑
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社 、1941(昭和16)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,307 字 · 25 页
じぶんが生一本な性質で、堪え性のないことはよく知っている。上役や同輩とは折合いが悪いし、ひとに好かれるようなとりまわしも出来ない。わがままと云えばたしかにわがままかも知れないが、しかしそれは君家のおんためという一念におのれをつきつめているからである。御奉公の道をひとすじにまもるほかに、武士としてお役にたつ勤めかたがあるだろうか。
――しょせん帯刀どのは己を憎んでいるのだ、死ぬまで己の本当の気持はわかって貰えないのだ。
そう思いつめるにしたがって、いちにんまえの役にたたぬと云われたうえに、なお御奉公をつづけるのは武士として恥辱であるとさえ考えた。そしてついにはおいとまねがいをする決心さえした。
安藤帯刀直次はそれから数日ののち、眠るように安楽の大往生をとげた。寛永十二年五月十三日、齢八十二歳であった。
その月は直次の葬祭のためにあわただしく過ぎた。七月には主君頼宣が紀伊へかえる、だからいとまねがいをするのならそのまえでなければ遅い。そう思っていると、六月にはいってまもない一日、源四郎は頼宣のまえに呼びだされて思いがけぬお沙汰をうけた。
それは、中小姓を免じ、今後はお太刀脇をつとめよというのである、更に役料として百石の加増をするという意外なおたっしだった。