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かにこうせん
蟹工船
小林 多喜二
「戦旗」1929(昭和4)年5月、6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 61,890 字 · 125 页
「鉄道敷設」「築港埋立」「新鉱発掘」「開墾」「積取人夫」「鰊取り」――殆んど、そのどれかを皆はしてきていた。
――内地では、労働者が「横平」になって無理がきかなくなり、市場も大体開拓されつくして、行詰ってくると、資本家は「北海道・樺太へ!」鉤爪をのばした。其処では、彼等は朝鮮や、台湾の殖民地と同じように、面白い程無茶な「虐使」が出来た。然し、誰も、何んとも云えない事を、資本家はハッキリ呑み込んでいた。「国道開たく」「鉄道敷設」の土工部屋では、虱より無雑作に土方がタタき殺された。虐使に堪えられなくて逃亡する。それが捕まると、棒杭にしばりつけて置いて、馬の後足で蹴らせたり、裏庭で土佐犬に噛み殺させたりする。それを、しかも皆の目の前でやってみせるのだ。肋骨が胸の中で折れるボクッとこもった音をきいて、「人間でない」土方さえ思わず顔を抑えるものがいた。気絶をすれば、水をかけて生かし、それを何度も何度も繰りかえした。終いには風呂敷包みのように、土佐犬の強靱な首で振り廻わされて死ぬ。ぐったり広場の隅に投げ出されて、放って置かれてからも、身体の何処かが、ピクピクと動いていた。