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ちぬられたかいとう

血ぬられた懐刀

国枝 史郎

「講談倶楽部」1928(昭和3)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,586 字 · 71 页

青空文庫

薄衣の下で身もだえをした。桃色の薄衣が裸休に準じて、蠱惑的の襞を作っている。胸の辺りが果物のように、両個ムッチリ盛り上っていたが、乳房がその下にあるからであった。下腹部の辺りが円錐形に円く、その上を蔽うている薄衣の面が、ピンと張り切って弛みのないのは、食物を充分に食べたがために、事実お腹が弾力をもって、張り切っているがためであろう。延ばされた左右の脚の間が、少し開らけていると見える。そこへ掛けられた薄衣の面が、深い窪味をこしらえている。薄衣は咽喉までかかっていたが、その薄衣から抽たところの、顔の表情というものは、形容しがたく艶麗であった。と、その顔を抑えようとしてか、薄衣の縁から両腕を延ばし、肘から湾のように丸く曲げたが、直ぐに掌で顔を抑えた。と、脇下の可愛らしい窪味が、きわだって黒く見て取れた。

烈しく喘いでいるらしい。胸から胴から下腹部から、延ばされた二本の脚の方へ、蜒のようなものが伝わって行く。のた打っている爬虫類さながらである。

そういうお紅を載せているところの、天鵞※張りの異国風の寝椅子は、先刻から絶間のないリズムをもって、上へ下へと揺れている。