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こうじん

行人

夏目 漱石

受母亲嘱托去大阪找亲戚,却和朋友的旅行约定撞上了。一边是亲情,一边是友情,主人公夹在中间,会走向怎样的孤独?

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 224,801 字 · 452 页

青空文庫

彼は手を叩いて、下女を呼んで今夜の急行列車の寝台を注文した。それから時計を出して、食事を済ました後、時間にどのくらい余裕があるかを見た。窮屈に馴れない二人はやがて転りと横になった。

「あの女は癒りそうなのか」

「そうさな。事によると癒るかも知れないが……」

下女が誂えた水菓子を鉢に盛って、梯子段を上って来たので、「あの女」の話はこれで切れてしまった。自分は寝転んだまま、水菓子を食った。その間彼はただ自分の口の辺を見るばかりで、何事も云わなかった。しまいにさも病人らしい調子で、「おれも食いたいな」と一言云った。先刻から浮かない様子を見ていた自分は、「構うものか、食うが好い。食え食え」と勧めた。三沢は幸いにして自分が氷菓子を食わせまいとしたあの日の出来事を忘れていた。彼はただ苦笑いをして横を向いた。

「いくら好だって、悪いと知りながら、無理に食わせられて、あの女のようになっちゃ大変だからな」

彼は先刻から「あの女」の事を考えているらしかった。彼は今でも「あの女」の事を考えているとしか思われなかった。

「あの女は君を覚えていたかい」

「覚えているさ。この間会って、僕から無理に酒を呑まされたばかりだもの」