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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

青木は復讐の激しさや悲しさにとまどった。どうしていゝか、わからない。なにかに縋らなければ、胸の切なさを持ちこたえることができないようであった。

「なア。おッさんや。カストリだのパンパンてものは、妙なものだね。あなた、なんだと思う?」

「へえ。なんでしょう」

「神様ッてものは、ノドがかわいたり、ゲラゲラ笑ったりするものなんだぜ」

「そんなものですかねえ」

「そんなものなんだよ。すべてが具わったものでもないし、万能でもないのさ。そして、奴らは――奴らッてのは、神様のことだよ。奴ら、ノドがかわいたって、貴族の食卓へ行きやしないよ。カストリとパンパンを買いに行くんだ。ぼくみたいにね」

「ハア。あなた、神様だね」

「まア、そうさ。ノドがかわいてるし、ゲラゲラ笑いたいからね。なア、おッさんや。ぼくが北川放二君を信用しないと云ったら、あんた、怒るかい。だってさ。パンパンが彼を神様だの、ふるさとだのッて云いやがんだ。笑わせるな。ノドがかわいたり、ゲラゲラ笑わない奴、信用できるかッてのさ。甘ったれるな。ハッハ。しかしさ。カストリとパンパンは、甘ったれたところがネウチなんだぜ。