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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
どこをさまよっているのだろう。
しかし、みんなバカげていると青木は思い直した。長平なんかが、もっともらしく悪党ぶるのは滑稽でもある。オレの本心は全然動揺してやしないのだ。ただオレの影がゆれているだけ。甘えてみせたり、苦しんでみせたり。みんな影法師の念仏踊りのようなものだ。
まさしく演技者には相違ないが、そう考えてみたところで、とりわけユトリがあるわけでもなし、優越を納得することができるわけでもない。
「今に、なんとかなる。何かに、ぶつかるだろう。そして、ぶちのめされてみたいのさ」
彼は苦笑して自分に言いきかせた。
失踪
一
記代子は長平の上京した金曜日から、会社にも姿を見せなかったし、下宿している遠縁の人の家にも戻らなかった。
失踪がハッキリしたのは月曜日である。すねるのも程々だと、せつ子が宿先へ使いの者をやってみると、金曜以来、宿にも戻らぬことがわかった。
記代子の外泊がめッきりふえて、宿先ではなれていたし、ちょうど土日曜にかかっていたので、不審を起さなかったのである。
放二は社長室へよびつけられて、せつ子から記代子の失踪をしらされた。