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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

放二は今までの経過を説明して、

「京都へ帰省中の方が二人で、在京中の方はこちらと、木田敏子さんと仰有る方、お二人だけなんです。木田さんはお帰りがおそいそうで、お目にかかれなかったのですが、勤め先をおききしたのですが、教えていただけなかったのです。木田敏子さん御存知でしょうか」

克子は冷淡にうなずいた。

「勤め先を御存知でしょうか」

克子はプッとふきだして、

「あなたは、ダメね。とても、捜しだせないわ。私の部屋へいらッしゃい。説明してあげるわ」

克子は放二を自分の部屋へ案内し、自分は茶の間で食事をしてから、お茶と菓子皿を持って上ってきた。

「家出したんでしょう?」

「ええ」

「なぜ、なんとかして、あげなかったの。無責任な方ね」

「ぼくは、会社の同僚にすぎないのです。あの方の愛人ではありません」

克子は疑って、

「嘘つきには、教えてあげない。私、あなたの名、記代子さんにきいたことあるわ」

「ぼくはお友だちにすぎないのです」

克子は疑わしげであったが、放二のマジメさを認めたようでもあった。

「じゃア、本当なのね。五十ぐらいの人だって。十日ほど前に会ったとき、ダタイのお医者知らないッて、きくんですのよ。