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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
せつ子の非凡な目が、同じ材料から何かを見つけてくれるかも知れない、と思ったからだ。
しかし、せつ子も彼のもたらしたものだけでは、手の施しようがないようだった。
「お友だちに、ダタイの病院、きいたということ、まちがいないことなのね?」
「まちがいないと思います」
「いつごろのことなの?」
「十日か、二週間ほど前。一度は十日前ぐらいと言い、一度は二週間前ぐらいと言ったのです。確かめて訊きませんでした」
「あんなにダタイはいやだと言っておきながらねえ……」
せつ子は記代子の心理を考えているようであった。放二にも、記代子の心理はいろいろに考えられた。
礼子に会って訊いたら、記代子の意外な心理を辿ることができるかも知れないと放二は思った。キッピイにもう一度会うことを急ぐよりも、礼子に会うことが先のようだ。すくなくとも「青木の子供」の問題にふれた何かが掴めそうな気がした。
「今度は、どこを捜すつもり?」
案外にも、せつ子はおびただしく拠りどころない様子であった。
「ダタイの病院をさがす必要はないでしょうか」
せつ子はクビをふって、
「それでしたら、捜す必要ないの。人間の過去は実在しないものなんです。