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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

おもしろくないでしょう? つまんないわね、というのは、おもしろいでしょう、おもしろそうね、ということだと思ったわ。昨日今日、そう思いついたんです」

十二

礼子の観察は当っているかも知れない、と放二は思った。自分の経験にてらして、マーケットのカストリ屋で男たちにとりまかれている時の記代子は、酔漢にからかわれるのも愉しそうであったし、酔漢にジロジロ見られても、心ゆたかであったようだ。カストリ屋の主婦や女給と語らうことも、けっしてキライではなかったのである。

しかし、記代子の新たな境遇、ニンシンと孤独、小娘の身にあまる煩悶の日々を思いやると、心境の激変も当然なければならないし、たのしいこと、明るく賑やかなことには、ついて行けなくなっていたかも知れない。虚無にもなろう。軽蔑もしたかろう。

しかし、そのへんのことは、放二にはシカと見当はつけがたかった。

「すると、記代子さんは、皆さんとお友だちになりたくて、遊びに行かれたのでしょうか」

「お友だちになりたいッてわけではないでしょうけど、男のお客さん方のように、バカ騒ぎしたいような気持――女ですから、バカ騒ぎはないでしょうけど、小説などにありますでしょう。