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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
ぼくにとっても、ひそかに師とたのむ方々です。先生方は、孤独者の人生の遍歴について、誰よりも理解の深い方々です。あなたが会って話をされて、理解して下さらぬはずはありません。もしも理解なさらぬとすれば、それはちょッとした俗な誤解によって、先生方の目に曇りができているせいなんです。どんな傑れた人の目もつまらない世俗的な感情で曇りをおびることはあるものです。ですが、その曇りは、先生方の場合には、長くつづくものではないのです。あの方々の内に曇りを払うすぐれた力が具っているのですから」
記代子は言葉をさえぎった。
「私は叔父さまや社長に理解していただく必要はないのです。あなたは、変ね。叔父さまや社長の許しを乞わなければ、何をしてもいけない私だと仰有るようね。叔父さまや社長にそんな権利があるのですか。私に、カリがあるとでも仰有るの?」
「カリではないのです。人生にカリがあることは有りうべきことではないと思います。ただ、心にツナガリのある人々同志は、そのツナガリを尊敬する義務があると思うのです。一般人は博愛や慈悲に身をささげる有徳の行者とはちがいます。人間を愛し、生まれたことを愛する表現としては、ツナガリを尊敬するという義務を果すぐらいで充分なのではないでしょうか」