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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
たとえ、街のボスが相手でも。
せつ子の手腕は非凡であるが、彼女が往々相手の力を見あやまるのも事実なのである。ヨタモノ相手にその手腕を正当にふるいうるかどうかは疑問であるし、記代子のことを考えると、せつ子の考えているらしいことが、一そう妥当でないように見える。
しかし彼がどう言ってみても、せつ子の決意をかえさせるのは不可能なのだ。
「旅行の前に、四五日東京で休養してみるつもりですが、何か御用はありませんか」
「いいえ。ひとつも」
早く山の温泉へ行けとせきたてるように、せつ子は放二をきびしく見つめた。まさかムホン人と見破った目ではないだろう。放二は心にさびしく笑った。怒られてもかまわない。エンゼルをせつ子の敵にまわさぬように、彼はひそかに暗躍する覚悟をかためていた。
四
放二は必ず面倒が起ると予期していたが、自分の力で、どうする才覚があるでもなかった。
まず出来そうなことゝ云えば、エンゼルに、自分という人間を信じてもらうことだけである。しかし、マゴコロの袋のようなものがあって、それを開いてみせると人が信用してくれるという便利な手段はないのである。