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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

四人どころじゃない。一目では算えきれないぐらい、ざッと十人ちかいアンチャンが勢ぞろいしている。四匹の猛犬を檻からだして、めいめい一匹ずつの綱をとって、スワといえば犬を放そうと身構えているアンチャンもいる。

アンチャンの重鎮らしいのが進みでゝ、大そうニコニコと歓迎の意を表して、握手をもとめ、口上をのべているうちに、誰かが、腰、ズボン、胸のポケットを点検したようである。

放二は応接間へ通された。窓から見ると、四匹の犬が綱から放されて、庭を行ったり来たりしている。アンチャン連も四人ばかり、要所々々に張りこんでいるが、樹木が一本もないから、折からの日でりで、大そう暑さにヘキエキしている様子であった。

放二はエンゼルとルミ子の昨夜の真相を知らなかった。しかし、もてなかったのだろうという想像はつく。

酔っ払いは前後忘却して、ところどころ明滅的な記憶しかなかったりするから、それを想像できなかったりして、益々誤解しているのかも知れないと放二は思った。

エンゼルはニコニコと現れたが、顔色がすぐれなかった。

「どこをのたくって呑んで歩いたか、気がついたら屋台の土間にねていましたよ。