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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页

青空文庫

しかし、エンゼルの話はどことなく軽薄であるし、あいにくなことには、なんの苦労もなくエンゼルの申出に応じうる資格があったのである。

放二は今度の慰労金に、旅行して疲れをやすめてこいと、せつ子から十万円もらっていた。その一部に手はつけたが、補充して十万円にするのにそう苦労はない。

あんまり簡単に応じうることを言われたので、放二は迷った。しかし、迷うのは、結局金がおしいからだと考えると、心はきまった。

「多少のお金でしたら、ぼくの出来る限りのことは、なんとかしたいと思います。ですが、あなたは信じてくださるでしょうか。ぼくが本心からあなた方のお友だちだということを」

十三

「それは信じていますとも。記代子も、ぼくも、あなたが二人に共通の唯一の友だちだということを忘れたことはありません」

エンゼルはこう応じたが、ウスノロの態度が真剣なので、このウスノロは本当にいくらか出すつもりじゃないのかと気がついて、おどろいた。どこまでウスノロだか分らない。先方がそのツモリだとすると、こッちも、もらって損はないから、

「イヤ。こう申上げても、あなたは本当にして下さらないでしょうね。