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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
風呂から戻った一同は、これを知って、被害者のルミ子よりも顔色を失った。
ヤエ子の宿命と自分たちの宿命が、遠く離れたものでないことを、彼女らは身にしみて知っていたからである。ヤエ子は追われて立ち去ったのだ。追われる圧力を彼女らも身にしみている。まだしもルミ子の物を盗んだヤエ子は賢明だ。彼女らの心にうごいたものは、羨しさであった。
十二
長平はヤエ子の泥棒ぶりに感心した。よほど天分があるようだ。痛快になめられたものであるが、腹をたてる余地がない。
彼の存在を眼中になく、行李をあけて十分ちかく金品を物色した落付きというものは、水際立っている。このとき彼の存在というものは、地上で最もマヌケ野郎に相違ない。おまけに、ズロースや腰巻などゝ適切なカイギャクを弄して、マヌケの上に怪しからぬ根性に至るまで心ゆくまで飜弄しつくして退散しているのである。
しかし、考えてみると、今までにこういうことが起らなかったのがフシギなのだ。ろくに稼ぎもないくせに、ムダ食いやムダ使いがやめられない五人の宿なしパンパンが、今まで泥棒しなかったのが珍しい。
放二をめぐる生活の雰囲気が、彼女らの情操を正しく優しくさせていたと見るのは当らないようだ。