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まちはふるさと
街はふるさと
「読売新聞 第二六三六七号~第二六五二〇号」1950(昭和25)年5月19日~10月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 193,435 字 · 389 页
八
長平は事の意外に驚いたが、青木や礼子には同情がもてず、放二の気持が切なかろうと、気の毒に思った。しかし放二の表情から感情の変化はよみとれなかった。
長平は放二への同情を礼子への攻撃にかえて、
「すると、青木君に新しい恋人ができたので、あなた方は別居されたんですね」
「あら。そんな。青木の恋愛は最近のことですわ。私たちが別居したのは、昨年の早春でしたわ」
じゃア、よけいなことは言わないことさ、と長平は顔にそう語らせて、
「早晩そんなことも起るでしょうよ。別居しているうちには、ね。しかし、北川君も知らないことを知ってるようじゃ、あなたも青木君が気がかりなんでしょう。元の枝へ急ぐべし。しかし、その恋愛を北川君が知らないようじゃ、あなたの思いすごしでしょう」
「あら。私、よろこんでるんです。青木に新しい恋人ができて」
「青木君からそんな報告がきたんですか。新しい恋人ができたから喜んでくれッて」
「まさか」
「じゃア、大きなお世話じゃありませんか。人の色話はよしましょうよ。もっとも、口惜しい、というのなら、ま、ごもっとも、合槌ぐらいうつ気持にはなれますがね」