轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まち

街

宮本 百合子

「女性」1927(昭和2)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,689 字 · 37 页

青空文庫

しかも、自分の頭の上で――フッ! フッ! それこそ七里けっぱい。七里けっぱい。

――けれども、せきの困るのはここであった。どうして体よく追い払おう。せきは、始めて言葉の通じない不便を痛感した。日本語でなら、うまく気を損ねないように何とでも云う法がある。男の異人の眼の碧さ、あの通り碧い眼をして、ひよめきをヒクヒクさせるだろう赤児を思うと、せきは異様な恐怖さえ感じるのであった。

もう締めて横になろうとした時、計らず一つ妙案が浮んだ。自分の家の物干だあもの、洗濯物の金盥を持って、水口から登ろうと、二階から出ようと誰に苦情を云われる義理はない訳ではないか。五月蠅がって出るのは彼方の勝手だ。――決心に満足を感じ、せきは誰憚るところない大欠伸を一つし、徐ろに寝床へ這い込んだ。

二階から聞えて来る合奏は、いつか節がかわった。葡萄酒が少し廻って来たジェルテルスキーとエーゴルは、互の楽器から溢れる響に心を奪われ、我を忘れてマズルカを弾いていた。ダーリヤとマリーナの頬は燃えた。二人の女は寝台に並び、足拍子を踏みつつ、つよく情熱的に肩を揺って手をうった。