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うらぎり

裏切り

坂口 安吾

「新潮 第五一巻第九号」1954(昭和29)年9月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 35,343 字 · 70 页

青空文庫

ピストルなぞはよく見たことがなかったのですが、それでも一見して違うように思われたのですが、面倒になるとうるさいので、ピストルなぞは一度も見たことがなかったのですと答えてごまかしてきたのでした。したがって彼の自殺説に甚しく反対だったのですが、彼の過去の犯罪がよほど米軍にとって重大らしいのを確認して、それではやっぱり自殺かなと思い直してしまったのです。

この事件のカギを握るのは日野だけですが、彼は小夜子サンとはアベコベに、セラダの自殺説が確定した時に、たぶんそうだろうと思ったのです。

お金が山とあっても死にたい時に人は死にます。ことにセラダは何かによって死の崖へ追いつめられていた様子ですから、あの人柄ではいつ何時プイと死んでも別に変哲もないことに思われただけのことでした。

あのバカも死んだかと思いました。ギャングの金のつきるまでお酒をのませてもらえるタノシミが減ったのは遺恨でした。オレに残りの金をくれて死ねばよいのに、気のきかねえ野郎だとぼやいたのです。しかし小夜子サンに残してやった様子もないのでちょッと変だなと思いましたが、あのバカにはマゴコロからの惚れたハレたが皆目ないのは確かですから、むしろこれもサバサバして風流にかなうオモムキもあり、またこれでオレも小夜子サンにヤキモチやいて金銭の恨みを結び、時に悪夢