轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かっしょくのぐどう
褐色の求道
岡本 かの子
「宗教公論」1935(昭和10)年2、3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,065 字 · 14 页
私は汽車に乗り遅れてはと、急いで停車場へ駆けつけた。
私は責任をヘッセの著書に譲り渡し、それで気が済んだつもりでいたが、そうは行かなかった。あれだけ虚無の魅力に牽付けられた疲れた人間が、なかなか文学や説明や詩で蘇らせられようとは思えなかった。そこで三度目のフロウナウ町行きとなった。せめて青年のその後の様子だけでも見たいと思ったからである。停車場のレストーランへ行くと、青年は女の連れと一緒に仏陀寺へ行ったということだったので、私も不必要な仏陀寺へ三度目の参詣をした。
急に春めいて来て、町の街路樹はすっかり萌黄の芽を吹き、家々の窓や墻根から色々の花さえちらほら見えた。寒さからのがれた空はたるんで、暖かい光の中に痴呆性の眼の色のようにぼんやりしていた。
仏陀寺の中を探し廻って私は、矢張りあの本堂の石碑の前で、青年と連れの女とに出会った。私が教えたように青年は手を合せ、連れの女も並んで同じ形をしていた。
礼拝が済んで青年は私の姿を見ると悦んだ顔色をして近寄って来た。
「あなたでしたか。もうお目にかかれないと思っていました」
それから派手な着物だが帽子とはちぐはぐな服装をしている連れの女を私に紹介した。