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したしくけんぶんしたアイヌのせいかつ

親しく見聞したアイヌの生活

宮本 百合子

「女学世界」1918(大正7)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,736 字 · 6 页

青空文庫

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今一つ云ってみたいのはアイヌの歌であります。彼等には文字がないので、昔からあった面白い歌も、口伝えに代々伝えられて来たのですから、忘れられたり、知っていた老人がなくなったりして歌の数もずっと減って了いました。その歌の節は内地の追分節によく似ていますが、元はアイヌの歌から初まったものかと思われます。

アイヌの中には実に歌の上手な人があります。興に乗じて歌っている時は、身も心もすっかり歌の中に入って了って、その顔まで平生の表情とは変っている位であります。それに歌曲なども丁度万葉時代のように、見たまま思ったままを直ぐ歌にして鳥の鳴声、雲の動きなど総べて自然によせて自分の感情をうたいますから如何にも自由で生々としています。こういう芸術味のある歌も、営利の為につまらぬ興業師などに利用されて、歌の上手な婦人で思わぬ不幸な運命に陥いる事があります。アイヌの歌を真に理解して、それに興を覚えて聞くならよいでしょうが、見世物のようにされては可哀想です。

彫刻なども、内地人が入ってからは、金の為に粗末なものを沢山に作り出すようになりましたので、真の技倆は悪くなってしまいました。