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はなしのたね

話の種

寺田 寅彦

「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页

青空文庫

叺のような物に母貝を沢山に並べたのを一度に写真にとる。そして真珠のあるのはすぐに採り出し、ないのは養殖場へかえすそうである。この法が果して収支相償って利益があるかどうかは他日を待たねば分らぬが、とにかく米国人が科学の応用に熱心な一例と見る事が出来る。

(明治四十一年三月二十一日『東京朝日新聞』)

六十九

光線と眼

薄暗がりで読書などすると、じきに眼が疲れて来る。永く続けると非常に眼を害するのは誰も知る通りであるが、またあまり強い光も眼に害がある。例えば太陽などを長く見つめるのは恐ろしい病の基である。インドでは宗教上の迷信から太陽を強いて直視するために内障眼を起す者が沢山ある。またロシアのある地方で牧牛が白皚々たる雪の強い光のため眼病を起すのを防ぐとて一種の眼鏡をかけさせた話がある。それほどに強くない光でも永い間には案外の害を及ぼすから、灯光などでもなるべく裸火を廃して磨硝子の玉ボヤのようなものをかけた方がよい。近頃の話だが、米国のある夜学校で強い電灯を点じてやっていたが学生中に眼病が非常に出来て困った。そこで電灯の下に反射鏡を取り付け光を天井から反射させるように改良したら、その後は眼を病む者がサッパリなくなったという事である。