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はなしのたね
話の種
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年9月~1908(明治41)年10月(不定期88回連載)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 32,082 字 · 64 页
が、近頃自働的写真器械を森や藪に仕掛けて野獣自身に写真を撮らせた人がある。これには写真器械から小さい糸を前方に張り、獣がこれに触るると同時に器械のシャッターが開いて種板に写る仕掛けがしてある。また夜間ならば糸に触れると点火器の引金が落ち、マグネシウムがパッと燃え上がって、動物は驚いて遁げる間のない中にカメラに写される。こうして撮った写真を現像する時には、どんな獣が写っているか予め分っていぬだけ非常に楽しみなものだそうな。
談話に費やす労力
人間が談話をしたり、歌ったり、演説したりする時には、肺の中の空気を若干の圧力で押し出しているが、このために要する器械的の仕事はどれだけであるか、平たく云えば一時間しゃべるにはどれだけの労力をするかという事を測定した人がある。この結果に拠れば、広い室で演説する場合ならば、一時間につき一四四ないし二八八キログラムメートルの仕事をする。もう少し分りやすく換算すれば、一秒ごとに三十五匁ないし七十匁くらいのものを一尺くらい持ち上げるのとほとんど同じくらいである。普通の対話ならばこの五分の一くらいなものだという。