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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页

青空文庫

科学的精神なるものの認識論上の絶対的な価値が、ここに必要なのである。以上の症状は、他ならぬ科学的精神の欠如の現代に於ける形態に他ならない。科学的精神は、単に科学の精神、科学研究の精神、科学者の精神、という精神ではなかった。之は広く、一切の文化領域を一貫すべき文化の真の意味の謂であり、思想の真の態度の謂である。勿論、科学者の専門家的な欠点を拡大した所謂科学主義などと、之は縁もゆかりもありはしない。――もし思想というものが要するに何でなければならぬかと問われるなら、吾々は「科学的精神」と答えねばならぬ。現代の認識論はそう結論しなければならない。

さて以上のようなものが認識であり真理である、意識であり精神であり文化である、そして思想なのである。それを広範義に理解することがなぜ必要であったかは、現実の情勢が教える処だ。だから今やこういうものを検討する認識論も亦、広範義に於ける認識論でなくてはならぬ。認識論は人間認識の史的発達を要約するものである。認識の弁証法発達とそこから結果する認識の弁証法的構造との検討である。そういう点で之は論理学であり又或る意味に於ける弁証法であるとされた(之は「哲学のレーニン的段階」