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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页

青空文庫

真理は alet※(アキュートアクセント付きE小文字) と呼ばれた。蔽われたものの暴露、匿された背後にあるものが前景の現象にまで齎されること、それが真理である。真理は明るくして見られるものであり(イデア)、姿の判然とした形のあるもの(エイドス)である。そういう風に所謂彫塑的に表象される現わなものなのである。そういう真理は美しく怡しく又為めになり良いものでなくてはならぬ。之は真理のギリシア的観念だと云われている。

M・ハイデッガーはこのアレテーという言葉の文献学的分析を通して、特に夫の現象学的な側面を強調する。だが少なくとも真理のこの観念に就いては、現象学とそりの合わないものが気になるのを禁じ得ない。現象学はどういう形のものにせよ(ラムベルト=カント=ヘーゲル=フッセルル=ハイデッガーを通じて)、問題を主観と客観との切り結んだ面にのみ限定するものだ。或いは寧ろ、そういう或る面を見出すことによって、主観と客観との対立などという問題を不用にしようというわけである。もし何等か超越的なものを口にするなら、それは正に、この面を超越しているという資格によってのみ、口にされる権利があるに過ぎない。