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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页

青空文庫

第三章 真理について(続き)

――だからマッハ主義の思惟経済説のような一種の懐疑的な相対主義や現象主義さえが、プラグマティズムと平行する同僚現象として生じているのである。前にふれたシラーの「ヒューマニズム」などは、之に較べればまだしも正常な精神の同僚であろう。――だから又、この種のプラグマティズムに対する反動として、最も素朴な、併し機械論的に精巧化した新リアリズムや新ラショナリズムさえが生じている。B・ラッセルやE・G・スポールディングなどの真理観念がそうで、そこでは実在と記号との間に組織的な一対一的対応(之は数理哲学的観念だが)なども仮定されざるを得なくなるのである。

第三章 真理について(続き)

真理は素より或る意味で明白感を伴うものでなければならぬ。何等かの意味に於て明白でないものは、真実ではない。もし明白でないならば、吾々は之を信じ、之に手頼り、之に基いて言動することは出来ない。ただ明白という規定が何であるかによって、所謂明白説に満足出来るか出来ないかが別れる。すでに、明白な真理は必ずしも自明であるとは限らない。自明と云われているものの多くも、命題としては実は大いに疑わしいものであることが屡々だ。