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にんしきろんとはなにか

認識論とは何か

戸坂 潤

「認識論」戸坂潤、山岸辰蔵、三笠書房、1937(昭和12)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,432 字 · 116 页

青空文庫

実践的模写説によれば、絶対的真理はカント風の物自体と共に、ないものである。真理は常に客観的な真理だ、だがそれは常に相対的に止まるのが現実である。処がヘーゲルに於ては真理は絶対的であるかのように見える。

他方、真理のこの現実的な相対性が、真理の階級性の問題に一つづきであるのは、云うまでもない。真理の階級性というと、二二が四という算術は階級によってどう違うか、などと反問する底の反対者が多いが、物事はもっと断片的にでなく、包括的に考えられねばならぬ。道徳上の真理になぜ階級性がないか。政治上の論理にどうして階級性がないか。消費主義的経済学と生産主義的経済学とはなぜ対立するか。進化論や弁証法はなぜ階級的反感を招いたか。真理の階級性は、単に真理の獲得の因縁が階級的に制約を持っているというだけではない。真理内容が往々にして事実上階級的利害を反映することによって、一定の特色を帯び、そして他に対して対立を呼び、又はそれ自身が歪曲されるということだ。之は何と云っても真理の相対性に帰することで、真理の絶対性にとっては名誉なことではない。だが問題は絶対真理のことではなくて現実の諸真理の間のことだ。