轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆうかいしゃ

誘拐者

山下 利三郎

「新趣味」1922(大正11)年 12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,834 字 · 16 页

青空文庫

頃四辻へ出たが、今まで黙々と考え乍ら歩んでいた春日は急に晴やかな顔をすると、懐中を探って煙草に火を点けて、勢いよく角家の「貸家老舗案内社」と染抜いた暖簾を潜った、そして特別料金を払って、仔細に一枚々々綴込帳を調べた上二十分も経ってから、

「お女将、こちらの赤線で消した分は、いつ頃約束済になったのです」

「エー……それは一週間程になりますねえ」

「ではこちらの方は?」

「それは一昨日お手打が済みました」

春日は自ら手帳を出しこれを写して、そこを出ると懐中から時計を覗かせて、ちょっと眺めると、突如どしどし急速に歩き出したので、渡邊は呆れて眼を円くしながら、後れじと跡を逐わねばならなかった、十分間もこんな状態が続くと、春日は△△中学校と門標のある中へサッサと這入り、名刺を出して校長に面会を求め、少時何か話していたが軈て生徒名簿を借受けて、拡げ出した、或一頁を読耽っているから、渡邊が速記簿を出そうとすると、春日は黙って、首を振って静かに名簿を閉じると同時に、放課の鈴を小使が振った。

門を出ると春日は渡邊を顧みて、

「サアもう一軒訪問したら今日はおしまいだぜ」