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いかにどくしょすべきか

読書と人生

三木 清

三木清『読書と人生』。同一底本的分册已合并为一书。收入:如何に読書すべきか、軽蔑された翻訳、書物の倫理、西田先生のことども、ハイデッゲル教授の想い出。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,486 字 · 57 页

青空文庫

多読は濫読と同じでないが、濫読は明かに多読の一つであり、そして多読は濫読から始まるのが普通である。古来読書の法について書いた人は殆どすべて濫読を戒めている。多くの本を濫りに読むことをしないで、一冊の本を繰り返して読むようにしなければならぬと教えている。それは、疑いもなく真理である。けれどもそれは、ちょうど老人が自分の過去のあやまちを振返りながら後に来る者が再び同じあやまちをしないようにと青年に対して与える教訓に似ている。かような教訓には善い意志と正しい智慧とが含まれているであろう。しかしながら老人の教訓を忠実に守るに止まるような青年は、進歩的な、独創的なところの乏しい青年である。昔から同じ教訓が絶えず繰り返されてきたにも拘らず、人類は絶えず同じ誤謬を繰り返しているのである。例えば、恋愛の危険については古来幾度となく諭されている。けれども青年はつねにかように危険な恋愛に身を委ねることをやめないのであって、そのために身を滅す者も絶えないではないか。あやまちを為すことを恐れている者は何も掴むことができぬ。人生は冒険である。恥ずべきことは、誤謬を犯すということよりも寧ろ自分の犯した誤謬から何物をも学び取ることができないということである。