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どくしょへんれき
読書遍歴
三木 清
「文芸」1941(昭和16)年6月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,120 字 · 72 页
という観念がわが国のインテリゲンチャの間に現われたのである。したがってこの教養の観念はその由来からいって文学的ないし哲学的であって、政治的教養というものを含むことなく、むしろ意識的に政治的なものを外面的なものとして除外し排斥していたということができるであろう。教養の観念は主として漱石門下の人々でケーベル博士の影響を受けた人々によって形成されていった。阿部次郎氏の『三太郎の日記』はその代表的な先駆で、私も寄宿寮の消燈後蝋燭の光で読みふけったことがある。この流れとは別で、しかし種々の点で接触しながら教養の観念の拡充と積極化に貢献したのは白樺派の人々であったであろう。私もこの派の人々のものを読むようになったが、その影響を受けたというのは大学に入ってから後のことである。かようにして日本におけるヒューマニズムあるいはむしろ日本的なヒューマニズムが次第に形成されていった。そしてそれは例えばトルストイ的な人道主義もしくは宗教的な浪漫主義からやがて次第に「文化」という観念に中心をおくようになっていったと考えることができるのではないかと思う。阿部・和辻氏らの雑誌『思潮』