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どくしょへんれき

読書遍歴

三木 清

「文芸」1941(昭和16)年6月~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,120 字 · 72 页

青空文庫

として出版されたものと同じ内容であったように記憶する。ナトルプ教授の蔵書が成城高等学校に所蔵されるようになったのは山下君の斡旋によるものである。私が大切にしているデカルトの肖像も、もとナトルプ教授に属していたもので、ある関係から私の手に渡ったものである。

マールブルクに落着くと、私はすぐハイデッゲル教授を訪ねた。その時のことについては、かつて「ハイデッゲル教授の思い出」という短文の中で書いておいた。この訪問において私はアリストテレスの研究を勧められ、ガダマルというドクトルを紹介された。こうして私はガダマル氏の家に通ってアリストテレスを読んでもらうことになった。それは『形面上学』と『ニコマコス倫理学』との中からであった。ハイデッゲル教授のゼミナールでもアリストテレスの『自然学』がテキストに用いられた。なおそのゼミナールで使われた他の書物はフッサールの『論理学研究』であった。教授はフッサールの著書ではこの書物を『純粋現象学及び現象学的哲学考案』よりも重んじていられたようである。これは、一つの思想をその根源的な発現における関心から解釈しようとする教授の哲学的方法にもとづくものである。