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だれ
誰
「知性」1941(昭和16)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,545 字 · 17 页
お前も、やっぱり僕をサタンだなんて思っているんじゃないのかね。」
「さあ、」ひっそりとなった。まじめに考えているようである。しばらく経って、「あなたはね、」
「ああ言ってくれ。なんでも言ってくれ。考えたとおりを言ってくれ。」私は畳の上に、ほとんど大の字にちかい形で寝ころがっていた。
「不精者よ。それだけは、たしかよ。」
「そうか。」あまり、よくなかった。けれどもサタンよりは、少しましなようである。「サタンでは無いわけだね。」
「でも、不精も程度が過ぎると悪魔みたいに見えて来ますよ。」
或る神学者の説に依ると、サタンの正体は天使であって、天使が堕落するとサタンというものになるのだという事であるが、なんだか話が、うますぎる。サタンと天使が同族であるというような事は、危険思想である。私には、サタンがそんな可愛らしい河童みたいなものだとは、どうしても考えられない。
サタンは、神と戦っても、なかなか負けぬくらいの剛猛な大魔王である。私がサタンだなんて、伊村君も馬鹿な事を言ったものである。けれども伊村君からそう言われて、それから一箇月間くらいは、やっぱり何だか気になって、私はサタンに就いての諸家の説を、いろいろ調べてみた。