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ろんごとバイブル
論語とバイブル
正宗 白鳥
「読売新聞」1904(明治37)年10月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,417 字 · 5 页
真理は平凡なるに違いないので、吾人も孔子の言に反対は称えぬが、敬服もし兼ねる。雨が降る日は天気が悪い、水は冷たい火は熱いといえば、何人も御尤もと首肯すれど、大発明だと恐れ入る訳には行かぬ。論語全篇凡てこんな言で満ちているのである。「学而時習之不亦悦乎。」という開巻第一の言も仮名でいえば「皆さんは学校で教わった事を家へ帰ってもお温習えなさいよ。」と同じ事で、論語知らずの小学校の先生でも常にいっている。「有朋自遠方来不亦楽乎。」の言も平凡。元田永孚先生の如きはこの一節を説明するにも幾万言を費し、古今の大真理としたそうだが、「酔うて唄う亦楽しからずや。」という剣菱即製の論語も真理は孔夫子のと同じく、これを実例を挙げて説明すれば、一日や二日の講義を要するのである。畢竟論語もバイブルも吾人が恐れ入るにも当らない凡書である。