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なぞのくびかざりじけん
謎の頸飾事件
山本 周五郎
「少年少女譚海」1931(昭和6)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,265 字 · 15 页
黄色ダイヤの頸飾
「よし給え、あの人はいつか自分から僕の手を握りにくるようになるよ、ここが我慢のしどころさ」
そして壮太の肩を叩いた。
「さあ皆さん」牧野子爵は集った客たちに向って叫んだ。
「食堂の用意ができたそうです、今夜は北京亭から腕利の料理人を呼んできて、邸で料理させた純粋の北京料理を御馳走いたします。さあ、どうぞお席へ」
客達は話しながら子爵の後から食堂へ入って行った。
黄色ダイヤの頸飾
食事の間、お客達の話は春田君の手柄話に賑わった。
牧野子爵はむろん自分の甥の自慢だから、黙ってひきさがっているはずはない。例の潜水艦の秘密事件だの、幽霊殺人事件だの、それからつい最近に解決したばかりの、あのメトラス博士一味の骸骨島の事件だの。自分の邸に珍蔵してある黄色ダイヤの頸飾を中心にして、ヤンセン牧師との一騎討事件だのを、我ことのように話しつづけるのであった。
「ですがねえ子爵!」客の中から秋山という若い紳士が声をあげた。
「その問題の黄色ダイヤの頸飾が、まだお邸にあるのでしたら、我々に見せて頂きたいものですねえ!」
すると一座の客たちも、それに賛成して、どうぞ頸飾を見せて貰いたいというのであった。