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おつきさまのうた

豊島与志雄童話集

豊島 与志雄

豊島与志雄『豊島与志雄童話集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:お月様の唄、お山の爺さん、影法師、キンショキショキ、金の目銀の目、銀の笛と金の毛皮、コーカサスの禿鷹、正覚坊、狸のお祭り、手品師、天下一の馬、天狗の鼻、泥坊、天狗笑、長彦と丸彦、ひでり狐、不思議な帽子、彗星の話、街の少年、山の別荘の少年、夢の卵、雷神の珠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 162,569 字 · 336 页

青空文庫

「しめたぞ」と悪魔は考えました。「一番上等な帽子に化けて、あの男に買われて、ともかくも外に出てみるとしよう。ここにこうしていたんでは、窮屈で仕方がない」

その考えがうまくあたって、金鎖の紳士は、悪魔が化けてる帽子に眼をとめました。

「この帽子はすてきだな、格好といい色つやといい、どうも……珍らしいよい帽子だ。これにしよう。いくらだね」

番頭はその帽子を手に取って、小首を傾げて眺めました。自分の店にあるのだが、どうも見馴れないすてきな帽子なんです。でも、高く買ってさえもらえば損はないわけですから、とび離れた高い値で売りつけました。紳士はその帽子がよほど気に入ったとみえて、たくさんのお金を払い、古い帽子は打ち捨ててしまって、新しい帽子を頭にかぶって外に出ました。

悪魔はおかしさをこらえて澄ましてきっていましたが、今こうして、ハイカラな洋服の紳士の頭にのっかって、賑やかな大通りを通ってるうちに、非常に愉快な得意な気持ちになって、ぐっと反り返りながら、逃げ出すのも忘れてしまいました。

やがて紳士は、ある立派な洋食屋へはいって昼の食事を始めました。悪魔の帽子がよほど気に入ったとみえて 入口の釘にもかけずに、ちゃんと食卓の上にのせておきました。