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ぶたきちとヒョロこ
豚吉とヒョロ子
三鳥山人
「九州日報」1926(大正15)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页
やっと向うの町の入り口まで来ると止まりました。それから、あなた方はどうなすったかと思って引き返して見ますと、ここの表の処に私の落した鞭が引っかかっています。それから入り口の処にお金入れが落ちておりましたが、これはもしやあなた方のじゃありませんか」
と云いました。
夫婦は馬車屋の親切に涙を流して喜びました。そうしてお礼を沢山に遣ったあとで、御飯の代金を払ってこの店を出ました。
豚吉夫婦はそれからだんだんと町に近付きましたが、町の入り口まで来ると、そこに大きな河がありまして、水がドンドン流れています。その上に橋が一つかかっていて、その橋を渡らなければ町へ這入られません。
「サア町へ来た。向うの町に這入ると、きっといいお医者が居るのだ。そうしたらお前も私も身体を当り前の恰好にしてもらえるのだ」
と云いながらその橋を渡ろうとしますと、橋のところの小さな小屋から二人の様子を見ていた番人が、
「モシモシ」
と呼び止めました。
豚吉とヒョロ子はうしろから呼び止められましたのでふり返って見ると、それは一人のお婆さんでした。そのお婆さんは二人の様子をジロジロと見ながら云いました。