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ぶたきちとヒョロこ
豚吉とヒョロ子
三鳥山人
「九州日報」1926(大正15)年1~3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页
「ヤ。こいつは一本参りましたね」
と豚吉は頭をかきました。
「それじゃ私たちは五百年も生きるでしょうか」
「生きるとも生きるとも。馬や豚の背骨の中におれが長生きの薬を詰めて入れておけば、五百年位はわけなく生きる」
「ヤッ。そいつは有り難い。それじゃすぐに入れ換えて下さい」
「よし。こっちへ来い」
と云ううちに、無茶先生は豚吉とヒョロ子を連れて奥の手術場に連れ込みました。
無茶先生はやっぱり裸体のままの野蛮人見たような恐ろしい姿をして、まず豚吉をそこにある大きな四角い平たい石の上に寝かしました。
それから、夫婦が連れて来た二匹の獣のうち馬の方だけを手術場に引っぱり込んで、豚吉の横に立たせて、白い繃帯でめかくしをしました。
それから戸棚をあけて、一梃の大きな金槌とギラギラ光る出刃庖丁を持ち出して、まず金槌を握ると、馬の鼻づらをメカクシの上から力一パイなぐり付けましたので、馬はヒンとも云わずに床の上に四足を揃えてドタンとたおれました。
それから、驚いて真蒼になって見ている豚吉の頭の処へ来て、イキナリ金槌をふり上げましたので、豚吉は床の上にコロガリ落ちたまま腰を抜かしてしまいました。