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ぶたきちとヒョロこ

豚吉とヒョロ子

三鳥山人

「九州日報」1926(大正15)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页

青空文庫

鍛冶屋の爺さんは驚きました。

「ヤア。これは大変だ。あの山男は人殺しだ」

と思わず声を立てるところでしたが、やっと我慢をしました。

「それにしてもあの殺された人間は何という不思議な姿であろう。男の方は横の丸さが当り前の人間の倍もあるのに、背丈けは半分しかない。又、女の方はヒョロヒョロ長くて、まるで竹棹のようだ。何という不思議なことであろう。あの山男はあの二人を殺して喰うのか知らん」

と、一生懸命息を詰めて見ておりました。

無茶先生はそれから鍛冶屋にありたけの鉄を集めて真赤に焼いて、たたき固めて、一つの大きなヤットコと鉄の箱を作りました。

それから鍛冶屋にありたけの炭を集めて、ドンドン炉の中にブチ込んで、一生懸命で火を吹き起しますと、その火の光りで家中が真赤になりました。

「オヤオヤ。家が焼けなければいいが」

と心配しいしい見ておりますと、無茶先生は鉄の箱をその上にかけて、水を一パイ汲んで、豚吉とヒョロ子をその中に投げ入れて、あとから真っ黒な薬を一掴み入れて煮初めました。

「サテ、煮て喰うのかな」

と思いながらお爺さんが見ておりますと、豚吉とヒョロ子は中の湯が煮立つにつれて真黒になって、まるで鉄のようになってしまいました。