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ぶたきちとヒョロこ

豚吉とヒョロ子

三鳥山人

「九州日報」1926(大正15)年1~3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,498 字 · 111 页

青空文庫

そうしてそれが済むと、豚吉と一所に並べて火の中に突込んで、その上から残った炭を山のように積み上げて、ブウブウを動かし初めました。

初め赤く焼けていた豚吉とヒョロ子は、だんだん白い光りを放つように焼けて、身体中から火花が眼も眩むほど飛び散り初めました。その時に無茶先生は両手でヤットコを握って、初めに豚吉を、その次にヒョロ子を引きずり出して、前を流れている川の中へドブンドブンと投げ込みました。

鍛冶屋のお爺さんはこれを見ると、慌てて天井を出て、裏の物置の屋根から裏庭へ飛び降りて、大急ぎで川のふちへ来ました。

見ると、豚吉とヒョロ子が沈んだ川の水の底からはグルングルングルグルグルと噴水のように湯気や泡が湧き出して、水の上に吹き上っておりましたが、やがてだんだんとその泡が小さくなって消えてしまいまして、青い水の上にポッカリと白い豚吉の身体が浮き上りました。見ると、それは当り前の人間とちっともかわりがないどころでなく、昔の豚吉とはまるで違った立派な姿になっているのでした。

「これは不思議」

と鍛冶屋のお爺さんが思う間もなく、今度はヒョロ子の身体が青い水の上に浮上りましたが、これも今までとはまるで違った美しい別嬪さんになっております。