轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふしょうしたせんろとつき
負傷した線路と月
小川 未明
「赤い鳥」1925(大正14)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,078 字 · 9 页
すると、うす紅色をした花は、いいました。
「しかし、私の命もそう長くはありません。このあつさで、私の体は、弱っています。長いこと雨が降らないのですもの。」と、歎いたのでした。
このとき、風が、レールの上をかすめて、花を揺すっていったのであります。
レールは、耳をすましながら、
「夕立がやってきそうですよ。遠方で雷が鳴っています。それは、あなたの耳には、はいりますまい。ずっと遠くでありますから。けれど私どもは、こうして長く、つづいていますので、その音が伝わって聞こえてくるのです。」といいました。
花は風に吹かれながら、
「ほんとうでしょうか。そうであれば、どれほど私はうれしいかしれません。」と答えました。
このとき、花を吹いている風がいいました。
「ほんとうですよ。今日は、こちらも降るでしょう。もうすこしたつと、雲がぐんぐん押し寄せてきて、あの太陽の光を隠してしまいますから。」と、知らしてくれました。
レールは、熱くなった体を、早く水に浴びて冷したいと思いました。また、花は、早く、水を吸って死にそうな渇きをば、いやしたいと思いました。
しばらくすると、はたして、黒い雲や、灰色の雲がぐんぐんとあちらから押し寄せてまいりました。