轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
田中貢太郎『貢太郎見聞録』。同一底本的分册已合并为一书。收入:変災序記、死体の匂い、日本天変地異記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,162 字 · 59 页
和智君は痛いと言って長くそれを揉まさなかった。
「ここは駄目ですよ、どこかへまいりましょう」
家内が私に言いかけた時、また地が震うて来た。三四人の者は奈良県の寄宿舎の下の高い崖の方へと往きかけた。寄宿舎の庭なら安全であると私は思った。私は和智君を後で迎いに往くことにして、まず、子供と家内を伴れて往った。その僅かな路の間も電線に注意したり、右側の簷の瓦に注意したりした。
寄宿舎の庭にはもう付近の者が二三十人も来ていた。寄宿舎の屋根の上に見えていた二軒の家は崖が崩れたために、その一方の家は簷が落ちて、それが寄宿舎の庭へ落ち重なり、その下に建っていた小使室を潰していた。私は家内や子供をそこへ置くなり、和智君を迎えに往っておぶって来た。
寄宿舎の庭には、腰かけや玄関のあがり口に敷いてあったらしい台を出してあった。私は家内や子供たちの立っている傍の台に和智君をかけさし、家へ帰って畳表の古いのでこしらえてある筵を取って来て敷いた。地は脈を打つように後から後からと動いて来た。
和智君はその筵の上に蚕のようになって寝た。私は何かしらその地震よりも大きな危険が来て自分の後に迫っているような気がして、そこにじっとしていられないので、シナ人の下宿の前へと往った。