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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页
」
と睨付くれば、火事はどこだという顔色。
「へい、さようかね。」と頓興声。
「さようかねとは何だ。」「でも貰って食べたんですわ。」
「誰が汝等に遣るというもんか。」お丹真顔になりて、「だがね、皆で頂戴いたしますというと黙ってどこかへお隠れなすったから可いのだろうと思いまして……」
巡査はじれ込み、「一体全体ここをどこだと思っちょるんだ。」「くどいねえ、芝区――町、六六館です。」
巡査弱って、「こりゃ、無茶だ。」「何でございますと。」「考えてみい、世が世なら、汝達が拝むと即座に眼が潰れるような御夫人方だ、何だって汚らわしい乞食風情に御言語を下さるものか。」
お丹は感じ入りたる状して、「さようでしたかい、さようとは存じませず、まあ。飛んだことをいたしました。つい一言ならぬとおっしゃれば可いのにさ。ねえ、旦那。しかし出来たことなら詮方がございません。」
「仕方がないって済まされんぞ。それにこの会は何も汝等に施行をするんじゃない、収入額は育児院へ寄附に相成るのだ。」
「だって物事はそう規則通りには参りません、旦那、医者を御覧なさいな。急病人の方へは先に駈附けるじゃございませんか。