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ひんみんくらぶ
貧民倶楽部
泉 鏡花
「北海道毎日新聞」1895(明治28)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,333 字 · 111 页
」
ややありて黒く痩せたる小男と、青く肥りたる大男と、両々光子を挟みて、引立々々入来れり。
「そこへ。」とお丹が座を示せば、老婦人の前に光子を押据え、牛頭馬頭左右に屹立せり。
光子は涙浮びたる眼を開きて、わずかに老婦人を瞥見せるのみ、打戦きて手足を竦め、前髪こぼれて地に敷くまで、首を垂れて俯向きぬ。
老婦人は顔をも背けず正面に光子を瞰下しいよいよますます傲然たり。
お丹は小刻に座を進め、「サ、犠牲に捧げます。お打ち遊ばせ、お抓り遊ばせ、この頃ようようなくなりましたこのお身体に生疵をまたいくらでもお付けなさい。どんなにでもお責めなさいな。ちっとも故障は申しません。そのかわりに、お邸へ連れてお帰りになりますからは、若殿様と御両人を快く添わしてあげて、これまでのような非道なことは忘れてもなさらぬように、それとも不縁に遊ばすなら、光子様に自由を与えて、決して干渉をなさらぬように、お憎みのありったけ、今晩いじめ切っておしまいなさい。お動きなすって御成敗がなさり悪くば、縛りましょう、釣上げましょう、さあさあ、どうとも御望み次第。」
と胴を据えたる詰問、老婦人は死灰のごとし。