轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あかいガラスのきゅうでん
赤いガラスの宮殿
小川 未明
「赤い鳥」1929(昭和4)年1月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,930 字 · 10 页
そして、この建物には、ふしぎに入り口がついていませんでした。赤いガラスをとおして、内部をのぞくと、いくつか、影が動いています。じっと見るとおじいさんが、腰かけていました。また、いつか、旅へ出かけた若もの夫婦がいました。女房は、にこにことして、なにか盆にのせて、あちらへ運んでいました。こちらには、びっこの娘が、さびしそうにして立っている。そればかりでない、犬も、子馬も、みんないっしょにむつまじく暮らしていました。おじいさんは、なにかいっているとみえて、口だけは動いていたが、ガラスの内部でいっているので、声がすこしも聞こえてきませんでした。平三は、なんだか、そのおじいさんも、娘も、みんなどこかで、一度見たことのあるような気がして、考えていました。が、それらは、すべて、自分の持っていたおもちゃであったことに気がつかなかったのです。
「もし、もし、おれも、仲間にいれてくんなされ。もし、もし。」と、平三は、叫んだけれど、あらしが強くて、その声を吹き消したのでした。
青々とすみわたった空の下で、すさまじいあらしが、吹いていました。たちまち、どっと、おそって、この赤いガラスの宮殿にぶっつかったかと思うと、さながら氷をくだいたようなひびきをたて、みごとな建物は、さんらんとして、空中に、飛び散ってしまいました。